スポーツ選手が行うイメージ・トレーニングは、メンタル・リハーサルとは違うように感じられるかもしれません。しかし、スポーツとしてのイメージ・トレーニングは、イメージしている部位の筋肉にも影響を与え鍛えてもくれますが、ただ単に漠然と筋肉を鍛えているのではなく、頭の中にイメージしている具体的な動きを向上させてもいるのです。
イメージ・トレーニングによって、一度形成された脳の電気回路は、その後の繰り返される刺激に対してより敏感になり、よりスムーズな筋肉(身体)の動きになります。脳は、実際に何かの訓練を行ったことと、それを頭の中で考えリハーサルしたこととの区別をしないのです。
筋電図を作るEMG(表面筋電位計測装置)を装着して、身体を動かしスポーツしているイメージ・トレーニング(メンタル・リハーサル)をしてもらうと、実際にからだを動かしている時と全く同じ電気インパルスが脳から筋肉に送られているのが計測できます。思考は、行動と同じ指令を脳から生み出すのです。
現在、脳波(EEG)と呼ばれる、脳から生じる電気活動記録し観察したり、脳神経細胞の電気活動によって生じる磁場を観察する脳磁図(MEG)を使った調査においても、具体的な行動のイメージを描いたり考えたりするだけでも、実際にそれを実行した時と同じ電気活動を脳がしていることが分かっています。